「教育と映画」〜映画『ノー・ヴォイス』①〜

初めまして。映画監督・ストーリーエバンジェリストの古新舜と申します。
私は、映画監督として劇場公開作品を手掛けながら、
映画制作を通じたアクティブ・ラーニング教育活動を行ってきました。
また、文化人類学を通じた研究活動やフィールドワーク教育、
アドラー心理学や非言語コミュケーションによる人財育成の研修を手掛けています。

私のコラムは、映画監督そして、文化人類学研究者として、
VUCA時代の現代に求められる教育のあり方を投稿させていただきます。

今回は、自身の自己紹介代わりとしまして、私の初監督映画「ノー・ヴォイス」を取り上げます。
この映画は、2013年に劇場公開され、現在も自主上映会や学生さんたちのSDGs学習、
中学校の国語の入試問題などに使われています。  

映画「ノー・ヴォイス」

犬や猫の映画というと愛らしいイメージを思い浮かべる方が多いのではないかと思います。
犬猫をペットとして飼われている方にとっては、犬猫は家族同然と感じている方も少なくないと思います。
その中で、捨てられる犬猫の数はどのくらいあると思いますか?

捨て犬・捨て猫の数

少し古い資料ですが、平成29年の時点で、犬は3.85万頭、猫は6.21万頭捨てられているそうです。捨てられた犬猫は、保健所(動物愛護センター)に収容され、元の飼い主もしくは新しい飼い主に引き取られるケースもありますが、飼い主が見つからなかった場合は、行政にて《殺処分》されてしまうのです。

殺処分という言葉は、聞くだけでも心が居た堪れなくなりますが、日本の法律上、犬猫は物として扱われ、所有者がいないものは処分されるという概念です。犬猫の飼育費には莫大な金がかかりますので、行政で管理するにも限界があるということです。

街中ではショーケースに入れられた仔犬や仔猫をよく見かけますが、可愛いという衝動で、飼育に対しての正しい知識や心構えがなく突然ペットを飼い始めてしまうと、散歩が面倒臭いとか興味が無くなったという自分本位な考えで、大切な命を放り投げてしまうケースが多々あるのです。その結果、保健所に持ち込まれて殺処分されてしまうことがあります。また、ペットショップで売れ残った不要と扱いで捨てられて、殺処分になるケースもあるようです。

捨て犬や捨て猫が殺処分されないために、一時的に犬猫を保護して、新しい飼い主に届ける活動をしているアニマルシェルターを舞台にしたのが映画「ノー・ヴォイス」です。

高校の新教育科目として「公共」が設置されたことは周知のことですが、
この映画は、「公共」の3つの構成要素である
・A 公共の扉
・B 自立した主体としてよりよい社会の形成に参画する私たち
・C 持続可能な社会づくりの主体となる私たち

にも連関する話題提起をしています。

新教育課程の狙いは,「答えを教えるだけではなく,問いを探させること」です。
社会的な観方・捉え方を養っていき、
主体的・対話的で深い学びである「アクティブ・ラーニング」が土台にあります。

人間が生きていることは、多様な生命との関係性によって成り立っていることを
多角的に考察する上で、映画観賞を通じた「公共」を考察する力を養うことは、
これからの教育現場でも益々広まっていくものと考えています。

(次回に続きます。)

投稿者プロフィール

古新 舜
古新 舜
「Give Life to Your Story!―物語を動かそう!―」をテーマに、映画と教育の融合を通じて、大人と子供の自己受容感を共に育んでいく共育活動をしている。映画「ノー・ボイス」「あまのがわ」を発表し、「いまダンスをするのは誰だ?」の制作準備中である。 映画監督と並行して研究・教育活動をパラレルでおこなう。文化人類学の視座をもとに、関係性のあり方に着眼して、VUCA時代を生きる上で必要なマインドをわかりやすく発信し続けている。法務省主催の「人権シンポジウム」講演、月刊誌「致知」などメディア出演や講演活動を積極的に行っている。

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